ウイローモスのよく知られている種類はノーマルタイプと南米産といわれるものの2種類だ。他にも海外のプライベート便や日本のフィールドからいろいろな種類が持ち込まれているが、完全に水没して生息する種類は少なく、多くは湿地などで採取されたもので、水槽内での育成が難しかったり、生長が遅くてなかなか流通ルートに乗らず、一般的に至っていない。
ウイローモスはいかにも「こけむした」と表現されるように、繁茂したその群生は時の経過を感じさせ美しい。南米ウイローモスはさらに形状が規則正しいシダ型になり、視覚的にもずっと緻密な美しさがある。この2種類は東南アジアやヨーロッパの水草ファームからも入荷するが、輸入ものは着状態がよくないことが多く、できれば、国産、しかもプロショップで、水槽内で育成、増殖されたものを入手するのが早く美しく繁茂させるコツである。
育成方法は、難しい有茎水草のように、常時、炭酸ガスや肥料を供給する必要はなく、水草の栽培に対して何も設備もしていない水槽でも大丈夫だ。ウイローモスや陰性の水生シダなどは水に溶けている硝酸塩を肥料として吸収でき(市販されている液肥などをわざわざ投与する必要がない)、光合成の能力が小さいため、炭酸ガスの消費量もごくわずかで済むからである。
しかし、より美しい姿を楽しみたいなら、それなりの設備を投資しよう。光量が少ないと光を求めて浮き上がるように生長し密な群生とはならず、一本ずつ単純に順に分かれてしまうので、照明は60センチレギュラー水槽で20ワット型2灯は必要だ。肥料は特別に必要とせず、他の水草に投与した余剰分や魚の排泄物で十分である。逆に肥料の過剰は一度絡みつくと取れないアオミドロなどのコケが発生し、ウイローモスにとって致命的な状況となってしまう。対処はアメリカンフラッグやサイアミーズフライングフォックスを収容して食べさせるが、硬いタイプのアオミドロはお手上げで、廃棄して新しいものを購入する。水質は弱酸性から弱アルカリ性pH5.5-7.2
KHは2以上ある方がよく、超軟水ではとくに南米ウイローモスの形状が美しいシダ葉状にならない。pHがアルカリ側の場合、炭酸ガスを添加する必要があるが、弱酸性なら必要ない(他の水草が入っていて添加するのは問題ない)。水温は25度前後、換水は陰性シダ類やウイローモスだけなら2週間に1度3分の1くらいで十分である。
流木などに活着させるには、釣り糸で巻きつけるようにする。流木の端に釣り糸を結びつけ、流木の上にウイローモスを薄く、重ならないように、しかも平均した密度で乗せる。厚くすると、表面のウイローモスだけが光を受けて生長するが、中の方は枯れてしまい活着しにくくなる。薄く均一にするのがやりにくい場合、付ける予定のウイローモスをハサミなどで適当なサイズにバラすとよい。釣り糸をくるくるともう一方の端まで巻いていき、また、巻きながら戻ってもう一度結んで固定する。時間がかかるときは時々水をスプレーして乾かないようにする。凹んだ場所には巻きつけられないので、凹凸のある場合は釣り糸が密着する部分だけ付ける。条件がよいと1ヶ月ほどで美しいウイローモス付きの流木ができあがる。凹んだ部分にもやがて生育してきて、覆ってくれる。
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