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ネイチャーアクアリウムの照明

水草もほかの一般的な植物と同じように、光合成を行って生長する。自然界における唯一の光源は太陽だが、水槽で水草を育てる場合の光として、太陽光線は必ずしも適切ではない。経験上、一日のうちわずかでも直射日光が差し込む水槽は、藻類が発生しやすいと言える。さらに、水槽の水が緑色に濁り、いわゆるグリーンウオーターになることもある。

これは、直射日光の照度が絶対的に高いということもあるが、それだけではなく光の色温度も関係しているようだ。色温度については後述するが、特に色温度の低い光が藻類の増殖を促している可能性がある。この点を考慮すると、水槽で水草を育てるには、人工の照明が適しているということになる。ネイチャーアクアリウムの照明を選ぶ際の条件としては、単に明るさ(照度)だけでなく、水草が健康に美しく育ち、かつ水草や魚を含む水景全体が美しく自然こ見えることがあげられる。

水草育成専用に開発された蛍光灯であるNAランプはこの条件をすべて満たしており、ネイチャーアクアリウムの基本の光となっている。この光を基準に、メタルハライドランプのNAランプMH−150Wやツイン蛍光灯のNAランプ36Wツインが開発された。


光の波長と光合成

太陽の光をプリズムに通して映すと、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の、俗に「七色の虹」と呼ばれる状態に別れて見える。昼間の太陽の光は白色光に見えるが、実際には波長の異なる(色の異なる)光が混ざっているのである。上の例は人間が視覚的に感じることができる可視光線だけであるが、赤い光の外側には赤外線、紫の光の外側には紫外線という目に見えない光も含まれている。

蛍光灯などの人工照明の場合、主に光の三原色と呼ばれる赤・緑・青の光を混ぜて、白色光としている。この光の三原色の割合の違いにより、発色も変わってくる。一般に、植物育成用のランプは赤っぽい光を出すものが多いが、これは陸上の植物が光合成を行う際、赤い光を最もよく利用するためである。しかし実際には、それに次いで青い光も光合成に利用されている。

また、青い光にはほかに重要な働きがある。植物に赤い光だけを照射した場合、茎が徒長してしまい美しい状態にならないが、青い光を当てると茎や葉がしっかりとした状態に育つのである。さらに、水中では赤い光は急速に減衰してしまうのに対し、青い光はよく透過する。そのため、水中の水草は主に青い光を光合成に利用していると考えられる。


色温度と水槽の見え方

色温度は、光がどのような色合いに見えるかを示す目安で、赤みが強い光ほど色温度が低く、青みが強い光ほど色温度が高いとされる。色温度は絶対温度の単位であるケルビン(K)で表す。例えば、色温度が5,000K以下の光は黄白色から黄色に近い色合いであり、色温度が10,000K以上の光は青白色から青に近いになる。水槽を照らす光としては、5,000K前後の光では水草が黄色みを帯びて不健康に見え、10.000K前後になると水草が青みを帯びて人工的に見える。

このようにして、水中で水草が自然に見える色温度を探していくと、7,000〜8,000Kという色温度に落ち着く。この色温度を持つ水草育成用ランプがNAランプである。この色温度の照明は空気中ではやや青白く感じられるが、水中では水の透明感が増し、水草の緑も爽やかに再現される。また、陸上植物育成用とされる赤い光を発するランプに比べて、青い光が豊富に含まれているため、水草の光合成も活発になり、美しく育つことが確認されている。

なお、光の色温度が高くなると演色性や赤の発色が悪くなると考えがちだが、NAランプは演色性も高いため、赤系の水草や魚の発色も良好で、水槽全体が明るく自然に見える。


蛍光灯とメタルハライドランプ

主な水槽用の照明としては、蛍光灯とメタルハライドランプがある。ネイチャーアクアリウムでは、蛍光灯はNAランプ15〜40W、36Wツイン、メタルハライドランプはNAランプMH−150Wが使用されている。蛍光灯とメタルハライドランプでは、照明器具もまったく異なっており、蛍光灯の場合は主にグリーングロウ/604と903が、メタルハライドランプの場合は主にソーラーIが使用される。蛍光灯用のグリーングロウは水槽の上に載せるタイプの照明器具であり、水槽全体をまんべんなく照らすことができ、光が柔らかく広がる蛍光灯の特徴から、有茎草など一般的な水草を育成する場合に適していると言える。

それに対してメタルハライドランプ用のソーラーIは、つり下げ式で水槽の上部がオープンになるのが最大の特徴である。この特徴によって、流木や水草の水上葉が水面から突き出すオープンタイプのレイアウトをつくることができる。なお、つり下げ式の照明器具としては、ほかにNAランプMH−150WとNAランプ36Wツインを組み合わせたグランドソーラーI、NAランプ36Wツインを4灯装備したグランドソーラーII、NAランプ36Wツインを2灯装備したソーラー(3)がある。


照明の強さと照明時間

水草が自生する自然の河川や湖沼では、岸の樹木などに遮られるため、実際に水中に光が差し込むのは正午前後の数時間程度に限られている。そのため、照明時間は必要以上に長くする必要はないが、蛍光灯の場合で1日8〜10時間程度が、経験的に水草が健康に美しく育つ照明時間と言える。なお、メタルハライドランプとツイン蛍光灯を組み合わせたグランドソーラーIでは、1日3〜6時間はメタルハライドランプの強い光で集中的に光合成を行わせ、その前後はツイン蛍光灯の柔らかい光で水槽を照らすことで、より自然に近い状態で水草を育成することができる。

また、水草には明るい照明でよく育つ陽生水草と、多少暗めの照明でも生育が可能な陰生水草とがある。代表的な陽生水草としてリシアや多くの有茎草があり、陰生水草の代表としてはクリプトコリネの仲間やシタ植物があげられる。陽生水草と陰生水草は、当然のことながら最適な光条件が異なる。陽生水華を育成する場合、60cm水槽でNAランプ20Wを4灯、90cm水槽で32Wを6灯点灯するのが健康に育つ目安となる。逆に陰生水草だけを育成する場合は、60cm水槽で20Wを2灯、90cm水槽で32Wを3灯で十分だと言える。


スーパージェットフィルターES・600接続例
60cm水槽の照明システム例

60cm水槽で最も手軽に使える照明器異は、グリーングロウ/604である。NAランプ20Wを4灯装備し、4灯と2灯の点灯切り換えができるロータリースイッチや放熱フアン、給餌穴など多様な機能性を備えている。また、つり下げ式の蛍光灯照明器具としては、NAランプ36Wツインを2灯装備したソーラーUが対応する。
90cm水槽の照明システム例

グリーングロウ/903を2台使用するか、ソーラーTを1台使用すると、ほとんどの水草が育成可能。ソーラーTでは、開放的なオープンタイプの水草レイアウトが楽しめる。また、メタルハライドランプとツイン蛍光灯を装備したグランドソーラーTは、タイマーと併用することで照明の強さと時間をより細かくコントロールできる。
120cm水槽の照明システム例

120cm水槽の場合、ソーラーTを2台使用すると水槽全体に十分な光を供給することができる。また、つり下げ式の蛍光灯照明器具では、NAランプ36Wツインを4灯装備したグランドソーラーUを2台使用する方法もある。もちろん、グランドソーラーTを2台使用して照明のより細かいコントロールも可能である。


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