ネイチャーアクアリウムでは、水草を植栽する底砂の部分を底床と呼ぶ。底床は単に水草を固定するだけではなく、水草を健康に育てる上で重要である。植栽された水草は底床に根を張り、根から養分を吸収して生長していくため、底床には適切な栄養素が含まれている必要がある。特に、クリプトコリネの仲間や工キノドルスの仲間など根生するタイプの水草は根からの養分吸収が盛んであり、底床の状態によって生長に大きな影響が出る。
また、植物が根から養分を吸収する場合、その仲立ちとして土壌微生物が重要な働きを担っている。それは水草の場合も同様であり、底床の中には有効に働く微生物が豊富に存在していることが望ましい。そのほか、底床内の微生物は、フィルター内のバクテリアと同様に、有機的な汚れを分解する働きも担っている。よく、ネイチャーアクアリウムでは底砂の掃除はしないのかという質問を受けるが、底床内に入り込んだ魚やエビなどの排せつ物は微生物の働きによって分解されるため、底床の中まで掃除する必要は無いのである。
さらに、微生物が有機物を分解した結果できる無機栄養塩は、水草によって吸収される。底床にも生態系の概念が生かされているのだ。
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