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水草が必要とする栄養素

水草は光合成を行って生長しているが、健康に生長するためには、CO2以外にも栄養素を吸収する必要がある。植物が生長する際に必要とする栄養素としては、「窒素・リン酸・カリ」の主大栄養素が有名である。これらの栄養素は植物が必要とする量が特に多く、生長の善し悪しに直接関わってくる。水草にとっても、当然これらの栄養素は必要不可欠なものであるが、陸上と水槽の中では少し事情が異なる。

まず、水槽の中では普通水草と一緒に魚を飼育しているが、魚の排泄物や残餌には窒素やリンが豊富に含まれており、魚の数が多すぎたり餌を与えすぎたりすると、水中の窒素やリンの濃度が高くなる。昨今、湖沼などの富栄養化が問題になっているように、水中の窒素やリンなど栄養塩の濃度が高くなると藻類が異常に増殖することがある。当然、水草も栄養素として吸収するのだが、窒素やリンが水草の吸収量を上回って存在していると藻類の増殖に繋がるのであるらそのため、水槽の状態によっては、窒素やリンを取り除くために頻繁に換水を行う必要が出てくる。

それに対して、カリウムや微量元素は不足しやすい傾向にある。水槽では、この点を踏まえた栄秦素の添加が必要になる。


固形栄養素

「底床」のページでも述べたように、ネイチャーアクアリウムでは底床に有機栄養素と無機栄養素を含むパワーサンドを使用する。パワーサンドに含まれる栄養素は、園芸や農業でいうところの元肥に相当する。すなわち、水草を植栽してからしばらくの期間、水草の栄養素として機能するのである。

クリプトコリネやエキノドルスなど底床に根を広げて栄養素を吸収するタイプの水草には、特に有効な栄養素の添加方法だと言える。パワーサンドに含まれる栄養素の一部は水中にも溶出し、これが有茎草などの初期の栄養素にもなる。ただし、ろ過槽が十分に機能していない状況では、水を汚し藻頬が増殖する原因になることもあるので、余分な栄養素は換水で取り除く必要がある。

換水を頻繁に続けていると、底床からの栄養素の溶出がなくなり、藻類も増殖しにくくなる。固形栄養素には、後で追加できるものもある。アイアンボトムとマルチボトムがそれで、パワーサンドの栄養素としての効果が切れる半年から一年の期間を目安に、水草の株から少し離れた場所(根の先端付近)に深く差し込む。差し込みが浅いと、水中に成分が活け出し、濁りや藻類の増殖などを引き起こす原因になるので注意したい。


液体栄養素

水草が生長に必要とする栄養素を効果的に供給する方法として、液体栄養素の添加がある。液体栄養素は、園芸や農業でいうところの追肥に相当する。そのため、元肥に相当するパワーサンドと併用するとより効果的だ。前述のように、水槽の中ではパワーサンドから溶出する栄養素や、魚の排泄物や残餌などによって窒素とリンは過剰になりやすい傾向がある。

そのような状況では、窒素やリンを含まない液体栄養素の漆加が適している。水槽にカリウムを供給するブライティKや、微量元素を供給するグリーンブライティSTEPl〜3は窒素やリンを含まない液体栄養素である。逆に、時間が経過してパワーサンドの栄養素が少なくなり、水草の量に比べて負の数が少ない場合には、水槽の中でも窒素やリンが不足することがある。そのような時には、「窒素・リン酸・カリ」を含む総合的な液体栄養素、グリーンブライティ・スペシャルLIGHTS(陽生水草用)またはSHADE(陰生水草用)を添加する。

スペシャルは水草が十分に繁茂した水槽で添加すると効果的だが、水槽セット初期や水草の状態が書い水槽、魚の数が多い水槽に添加すると栄養素が過剰になる恐れがあるので、添加は避けるようにする。


添加液

固形栄養素と液体栄養素以外に、ECAやグリーンゲインなど添加液もある。基本的に、これらの添加液は液体栄養素の補助として考え、通常はブライティKやグリーンブライティSTEPl〜3などの液体栄養素を添加し、水草の状態に応じて添加する。

ECAは、水草が吸収しやすい形の鉄分(ニ価鉄)を供給するもので、水草の白化の改善や、赤系の有茎草の発色をよくする効果がある。鉄分は水草が葉緑素などの光合成色素をつくる際に必要だとされている。鉄分を十分に供給することで水草の葉色がよくなり、光合成も活発に行われるようになる。グリーンゲインは、水草の生長を促す植物ホルモンと微量元素を含む添加液で、トリミング直後の有茎草や水草の生長が悪い場合に効果がある。特に、有茎草をトリミングした直後に、多めに添加すると新芽の生長がよくなり、きれいな茂みになりやすい。

これらの添加液は、液体栄養素よりも濃度が高いため、少ない添加量でも効果が出やすい反面、添加量が多すぎると水の黄ばみや藻類の増殖などに繋がることもある。基本的に説明書の添加量に従えばよいが、水草の状態によって添加量を増やしたり、逆に添加量が多すぎた場合には換水で取り除く必要がある。


栄養素の添加量

それぞれの栄養素には、使用の目安となる添加量があるが、実際の添加量は水草の量や状態に合わせて増減する必要がある。例えば、パワーサンドは水槽の大きさに応じて使用量が決まっているが、前景部分に化粧砂を敷く場合には、その分を減らさなければならない。また、アイアンボトムとマルチボトムは、15×15ネイチャーアクアリウムの栄養素添加水槽内では、魚の排泄物や残餌、水草の枯れ葉などから窒素やリンが供給される。

そのため、まず窒素が過剰になりやすく、次いでリンが過剰になりやすい。これらを水草に効率よく吸収させるには、不足している栄養素を補えばよい。水槽内で不足しやすい栄養素としては、カリウムや鉄がある。これらは比較的水草の要求量が多い栄養素であるが、そのはかに微量栄養素という比較的水草の要求の少ない栄養素もある。不足している栄養素を水槽に添加することで、水草は効率よく栄養素を吸収し、健康に生長できるようになる。(cm)の単位面積当たり1本が目安だが、水草の混み具合や株の位置によってこの通りにならないことも多い。

簡単に添加できる液体栄養素にも、60cm水槽で3プッシュという添加の目安があるが、これは水草が生長し始めた初期の添加量であり、水草が生長して量が増えた場合には、液体栄養素の添加量も増やす必要がある。液体栄養素の添加量は、水草の量と状態を観察しながら、添加量を増やしていくことが多い。例えば、水草の光合成を活発にする働きのあるカリウムが不足すると、いくらCO2を添加しても光合成が活発にならないことがある。そんな時には、プライティKの添加量を増やすと光合成が活発になることが多い。

また、夏場の高水温などで水草が調子を崩している時には、栄養素の吸収も盛んには行われないので、液体栄養素の添加を控えたほうがいいだろう。


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