水草の中でも、最も多い種類数を誇り、また、入手のチャンスがごく少ないとされる超レアな種類があるのがエキノドルスだ。その種類数は原種で約40種とされているが、中には、ひとつの種類でも、葉の形や色彩が異なっていていくつものタイプに分けられるものや、違う種類のものを交配して作り出された改良新種も数多くあり、総合すればゆうに100以上になるだろう。
多くの種類は東南アジアやヨーロッパの水草ファームで増殖され流通しているが、ファームでの増殖が難しいブラジル南部などに自生するエキノドルス・オパクスやエキノドルス・ポルトアレグレンシス、エキノドルス・ホレマニーなどが現地採取ものとして時折輸入されている。
価格も増殖ものと比較するとかなりの高価で、マニアのコレクターズ・アイテムとなっているほどだ。これらは涼しい地域の種類で夏季の水温上昇(30度以上)には注意が必要だ。
エキノドルスの一部の種類は北アメリカにも自生しているが、分布の中心は中南米だ。現地は雨季と乾季があり、乾季には乾いた場所でも雨季には何メートルもの水底に水没してしまう。そうした場所に生活するエキノドルスは、乾季には水上葉を出し、雨季には水中葉を展開することで適応し、水槽での栽培はそうした性質を利用している。水中葉と水上葉ではその性質上かなりの違いがあり、水上葉は厚く硬いが、水中葉は薄く柔らかく、ほとんどの種類が水中葉の方が美しく、また、葉の枚数も多くなり、鑑賞価値が高い。
しかし、輸送など流通に関しては、水中葉は耐久性がなく痛みやすいため、水上葉の方が都合がよい。このため生産者側である水草ファームでは、水上葉のものを増殖している。普通ショップではそうした水上葉のものを市販している。しかし安価で市販されている水上葉のアマゾンソードでも、水中型で長期間育成すると草丈50センチ、葉数50枚にも達し付加価値の高い見事な株になる。
入手したものは傷んだり老化して黄色くなった葉を取る。水上葉でポットにロックウールで植えられているものはウールは丁寧に剥がす。根はいったん移植も行うとほとんどが新しいものと入れ替わるので、5センチ程度に切りそろえる。これは水中葉で入手したものでも同様にカットする。逆に根が少なく植えてもすぐに浮いてしまう場合、根付くまでの期間ロゼット基部に鉛の錘を巻き付けたり、根毛の植えられている低底上に石などを置き浮かばないようにする。
照明は強めがよく、60センチのレギュラー水槽で20ワット型の蛍光灯が2-3灯は必要である。また、メタルハライドランプなどを使用したオープンアクアリウムでは水面に水上葉を出させ花を咲かせることも可能だ。エキノドルスは根張りが強く、肥料を根毛から吸収するので、育成するには低底に固形肥料を埋めるようにする。
水質は弱酸性から弱アルカリ性pH5.5-7.5が適し、どちらかというと新しい水を好み、炭酸ガスの添加も十分に行うようにする。低底は砂利系、ソイル系どちらでもよい。水槽での繁殖は低底上を這うランナーの先に子株を付けたり、花を咲かせるために出る茎にある節から新しい株を生ずる。ブラジル南部原産の高級種ははランナーや花茎を出さず、横に生長してゆく硬い根茎から新芽を出すので、増殖したいならじっくりと育成するようにする。 |