トレンドの水草といえばホシクサ類だろう。ホシクサの仲間は1994年のトニナsp.の登場以来、ブラジル産のスターレンジを始め、南米のマットグロッソ、ゴイアス、アラグアイア、そしてオーストラリアからE.セタケウムがプライベート便で入荷してブレイクした。
また、日本にもホシクサ、クロホシクサ、ヒロハイヌノヒゲなどの湿地性のホシクサ類が自生し、若い株なら自家採取して水槽に植えることもできる。これらホシクサ類に共通していえることは、そうでもない種類もあるが、一年草が多く、熱帯では雨季に成長、降雨量が減ると開花結実し、乾燥する乾季は種子のまま過ごし、また、雨季になると発芽、生長を始める。
日本では春に発芽、夏に成長し秋に開花結実して終わる。そのため、水槽でもそうした一定期間を過ぎると枯れるサイクルの種類もあるが、いわゆるトニナやスターレンジはそのようなことはなく、通年水中で育生させることができる。
育成環境は、まず、明るい光が重要で、60センチのレギュラー水槽で20ワット型のランプ3灯は欲しいところだ。光の減衰率の低い高光量のメタルハライドランプを使用するのもいいだろう。水質は酸性から弱酸性pH5.0-6.5
くらいがよく、KHは0に近いほうがよい。新しい水を好み、換水は1週間に1度3分の1程度行い、その都度、液肥を適量投与する。水温は25度前後でよい。ホシクサ類は傷や細菌に対して弱い面があり、植物体の一部が半透明になって溶けてゆく病気が発生することがある。対処は患部を切り取るが、病気の進行はかなり早いので、毎日朝夕よく様子をみるようにして、少しでも広がっていたら、できるだけ早めに対処しておく。
トニナやスターレンジでは長く伸びた茎を切って挿すと独立した株となり、残した元の株からも新芽が出て増殖は容易だが、ケヤリソウやE.セタケウムでは残した株からは子株が出ずに、茎頂芽だけが分かれる増殖の仕方をする。ゴイアスのホシクサでは、水中で伸びた花茎の頭頂の種子が発芽して子株が出てくる。
一年草の日本産のホシクサなどの場合、花茎を伸ばすのは開花結実という繁殖で、それが完了すれば枯死する運命にあり、いつかは枯れるが、そうなるのをなるべく延ばすには、出てくる花芽を短いうちにすべてカットする。では、増殖がむずかしいかといえば種子から育成すれば、多くの株を得ることができる。水中栽培用の株とは別に、水上で育成する若株を用意し、鉢に荒木田などの田の泥で植え付ける。根付いたら、温かい場所でよく日に当てる。根付くまでは強烈な陽光に当てると枯死するので注意。湿地植物なので水切れさせないように腰水にしておく。するとやがて花芽を出す。花茎が伸びきって先端に頭花ができ、やがてその中の種子が熟すと、採れる。ひたひたの水が被るくらいの泥に種子を蒔き、温かく日の当たる場所で管理するとやがて発芽してくる。
種子を採るタイミングが分からない場合、面積の広い蒔床を作って、そこに花茎の付いたホシクサの鉢を置いておくと、自然に種が落ち発芽する。得られた株は若いうちに水槽に植えると長く楽しめる。
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