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1、ホシクサの概要

ホシクサ科(Eriocaulaceae)は世界中に約1200種類ほど存在する大きな植物のグループです。実はみなさんも良く知っているツユクサに近い仲間なのです。一般的にホシクサというのは、ホシクサ科のホシクサ属(Eriocaulon)を指す事が多いようです。 その他にもブラジル南部に局所的に分布するBlastcaulon属、アメリカのみに分布するといわれているLachnocaulon属、ブラジル中心に分布するLeiothrix属、ホシクサ科でも種類数が多いPaepalanthus属、スターレンジが含まれる可能性が示唆されるTonina属など約13属が存在していると考えらます。

現在日本に輸入されて育成・観賞が楽しまれているホシクサ科の植物はEriocaulaceaeの中のほんの一握りに過ぎません。またせっかく輸入されても着状態が悪かったり維持できなかったりと消えてしまった種類も少なくありません。手に入れたらじっくりと育てて維持していきたいものです。

2、育成について

トニナsp(Eriocaulaceae sp.)が登場した事によってアクアリストに認知され育成の技術も飛躍的に高まったのですが現在で
アクアソイル-アマゾニア
も育成に手を焼く種類も多く上級者向けというイメージが強いようです。しかしポイントさえ抑えてしまえば初めての方でも十分に楽しめると思います。また、アジアやアフリカ産のホシクサは南米産の種に比べ育成が容易ですのでここから始めてみるのも良いでしょう。育成のポイントはずばり低硬度で特にKHは0に限りなく近いのが理想です。R/Oを用いるのは初心者の方には難しいと思いますので避けた方が無難でしょう。オススメは近年急速に発達してきた底床素材であるソイルです。特にADAのアマゾニアは飼育水を弱酸性の軟水に傾ける力が強くオススメです。見た目を気にするならアマゾニアのパウダータイプを使用するのも良いかもしれません。水洗いは必要なくセットも非常に楽なのですが如何せん土で作られているので扱いは丁寧に行いたいものです。間違っても乱暴に扱ったり勢い良く水を注いだりしてはいけません。せっかくセットした水槽の水が濁ってしまいます。ソイルが入っていた袋を敷いてその上から水をゆっくりと注いでくださいね。

さて、植物を育成するのには光が必要になってきます。ホシクサ科の植物は総じて高光量を要求するものが多く60cmレギュラー水槽に対して最低限20型18W蛍光灯2本、理想を言えば3本〜4本分の光量が必要になってきます。多数のメーカーから様々なライトが販売されているので色々と調べてみると良いでしょう。証明時間は一日10時間前後で概ねは問題ありません。

次に必要になってくるのはCo2ですがこれも多数のメーカーから様々な添加器具が販売されています。ここではっきりさせておきたいのは高圧ボンベを用いた強制添加式を選択する事です。発酵式やプッシュ式などもありますが効率は悪くホシクサの良好な生育はまず望めません。少し値段は高いと思っても長い目で見れば高圧ボンベの方が圧倒的にコストパフォーマンスに優れているのです。気になる添加量ですがこれは一概に言えません。光量が多ければCo2の消費量も増えますし、少なければ減ります。添加量は育成していく中で感覚的に把握できるようになります。どうしても不安な方は最初に極微量添加してみて様子を見ながら添加量を増やしていくと良いでしょう。一般的な使い方をしていれば小型ボンベ(70g)で20〜30日添加することができます。

バイオキューブ
最後にフィルターについて説明します。近年の水草水槽で使われているのは外部式フィルターがほとんどではないでしょうか?ここで敢えて他のフィルターを選択する必要も無いでしょう。重要なのは濾過材で間違っても硬度を上げてしまう材質のものを使用してはなりません。ADAから販売されているバイオキューブ、パワーハウスのソフトタイプSなどを併用する事で高い濾過効率を得る事ができます。また吸水口にテトラなどから販売されているスポンジを取り付ける事で濾過槽の掃除をする必要もなくなり濾過バクテリアが安心して増殖できる環境を提供できるでしょう。実際筆者の外部式フィルターはスポンジの定期的な掃除のみで開けて掃除した事は一度もありませんが良好な環境を保ち続けています。


ヤマトヌマエビ
コケの予防に効果大だが、ホシクサを食べてしまう事も・・・。
以上の事を踏まえてホシクサの育成を開始してすんなりと上手く行った方もおられればつまずいてしまった方もおられるでしょう。まずぶつかるのはコケの発生ではないでしょうか?ホシクサの仲間は植え込みから発根までの間生長を一時的に止めてしまうためにコケに覆われやすいのです。水槽設置後に展開の速い水草(ハイグロ、ロタラなど)を全体に植え込み根を張らせて土壌バクテリアを一気に増殖させるのが良いでしょう。水槽のコンディションが安定してからそれらを引き抜き空いたスペースにホシクサを植えてやればコケの発生も抑えられるでしょう。また肥料を控え(特に液肥)水を貧栄養状態に保っておくのもコケの発生を抑えるのにかなり有効です。肥料はホシクサが展開を開始してから根元に埋め込むタイプの物を与えてやれば良いでしょう。あとは光が強いのにCo2が少ない場合(その逆も)や証明時間が長すぎる場合もコケの発生を見ることがあります。落ち着いて原因を考え対処することが解決への一番の近道なのです。普段からコケ発生の予防としてコケを食べてくれる生物を導入するのも良いでしょう。ただしヤマトヌマエビなどの大型種は肝心のホシクサを食べてしまう事もあるので小型のエビ類に留めておくのが無難でしょう。万が一藍藻と呼ばれるコケが発生してしまった場合は水槽の環境をもう一度見直してみると共にワイルドモーリーを導入すればあっという間に撃退する事が可能です。

次に原因がよく判らないのに生長が芳しくない場合ですが大概は小さな貝類の発生などによる硬度の上昇が原因です。テトラから販売されているPH/KHマイナスなどで硬度を下げてやると共に肥料が足りているか?光量が足りているか?などを確認してやると良いでしょう。

これとは別に草体が透明になって枯れてしまう場合もあります。ウィルスが原因とも言われていますが原因ははっきりしません。接触している部分から溶けが広がって行くので患部を見つけたら速やかに切除するのが最良です。発生する場合はやはり環境が徐々に悪化している可能性もありますので水換えなどの対処を行ってください。また水流が弱く停滞している部分に発生しやすい様なので水槽全体に水が回るようにしてやる事も重要です。

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